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ポートフォリオの○○でわかる⁉ グラフィックデザイナーの運命を決める「デザインの目」。

太田芳隆

アドベンチャーズには、日々たくさんのグラフィックデザイナーの方が面談にいらっしゃいます。その中で「この方だったら確実にキャリアアップできる、将来の活躍が期待できる」と感じる方には、ある共通した要素が備わっています。今回は、グラフィックデザイナーの成長に必要な要素「デザインの目」について解説します。
 

<解説者>
株式会社ホールハート アド・クリエイティブチーム マネージャー
太田芳隆
 

デザインのスキルと内面性は、ポートフォリオで9割わかる

グラフィックデザイナーの転職は、ポートフォリオがないと始まりません。企業の採用担当も私たちのようなキャリアコンサルタントも、その方のスキルや内面性を判断する際、ポートフォリオを見ないと判断ができないからです。履歴書や職務経歴書ももちろん目を通しますが、割合としては、ポートフォリオが9割、残りの1割をその他の書類で判断します。ですからアドベンチャーズでも、グラフィックデザイナーやアートディレクターの方には必ずポートフォリオを提出していただいています。

ポートフォリオは、これまで手掛けてきた仕事からスキルの判断や企業への親和性を検討するとても大切な判断材料なのですが、作品自体はもちろんのこと、それと同時に私が必ず確認する部分があります。たいていの場合は、じっくり読み込まなくてもその部分を見ただけで「これまで培ってきたスキル」と「これからの成長度」が見て取れるのですが、いったいどの部分なのでしょうか。


努力と経験によって身につく「デザインの目」が備わっているか

ポートフォリオを全ページに渡り、四隅まで気を遣って丁寧に作っている方は、たいていの場合、転職先でも活躍する方だと思っています。つまり、私が作品以外に見ているのは、紙面の四隅やその他目立たないような細かいところまで丁寧につくられているかどうかです。ただし、これは決してポートフォリオ自体をデザインするということではありません。むしろ、作品を邪魔してしまうような装飾、たとえば罫線を引いたり、背景に色を敷いたりなどは不要です。

「丁寧」というのは、文字組みや余白の使い方に気を遣い、伝えたいことが正しく伝わるものであること。つまり、読み手の立場に立ってつくられている状態です。ポートフォリオを拝見する際は、こうした点がその方のスキルや内面性を判断する重要な判断材料になるのです。

たとえば文字組や余白の取り方。デザインにおいては基礎中の基礎です。作品以外に、こうした要素ひとつひとつの仕上がりを見るのですが、そこで明らかになるのが「デザインの目」が備わっているかどうかです。「デザインの目」が備わっている方は、フォントの選び方、文字の配置、文字間、行間、余白など、とても細かい部分まで丁寧に仕上げます。場合によっては1ミリ単位の違いにまで気を配るほどです。整っていないと気持ち悪く感じてしまうため、自然と丁寧な作業になるのです。優秀なデザイナーであればあるほど、その精度は高まります。この“良いデザイン”を判断する感覚のことを私は「デザインの目」と呼んでいます。

一方、「デザインの目」がまだ備わっていない若手の方や、長年経験を積んでいても「デザインの目」が養われていない方の場合、この「整っていないと気持ちが悪い」という感覚がありません。ですから、たとえクライアントや上司から指摘をされたとしても、直すべき箇所がわからないのです。

この「デザインの目」は、残念ながら持ち前のセンスだけではどうすることもできません。強制的に訓練した人だけが身につけられるものです。たとえば、厳しいアートディレクターの元で修行をしたり、優秀なクリエイターに囲まれた環境で成長したり。こうした経験を積むことによって養われます。ごく稀に、厳しい環境で働いた経験がないにもかかわらず、素晴らしいポートフォリオをつくって来られる方がいますが、こうした方は独学で相当量の勉強をしています。良いデザインを見てはインプットし、自分のスキルにしてアウトプットをする、これをひたすら繰り返しているはずです。いずれにせよ「デザインの目」は、努力と経験によって身につくものなのです。

ちなみに、この力を完璧に自分のものにするためには、最低でも3年はかかります。それも、厳しく優秀なクリエイターに囲まれた環境で修行を重ねた場合です。デザインの仕事をはじめて1年半くらい経つと、なんとなく身についてきたような気になりますが、それではまだ足りていません。良いデザインを見極め、それを自分自身で体現できるようになるまでには、少なくとも3年間はインプットとアウトプットを繰り返すことが大切なのです。
 

「デザインの目」があれば、未経験からのキャリアアップも可能!?
 

太田芳隆

ひとつ事例をご紹介します。数年前、若手のグラフィックデザイナーの方がご相談にいらっしゃいました。主に住宅系のチラシや広告を手掛けていて「マス広告の仕事がしたいから転職を希望している」という相談でした。住宅系の案件は、テンプレートに沿ったデザインを制作することが多いので、個人のスキルは判断しにくいものです。しかしポートフォリオを拝見したところ、読み手のことを考えたとても丁寧な仕上がりで、まさに「デザインの目」が備わった方の作り方でした。私は「この方は確実にキャリアアップできるだろう」と確信し、マス広告を扱う広告制作会社をご紹介しました。

本来なら難しい、未経験からの転職でしたが、予想通り見事内定が出てその広告制作会社に転職されました。そこで4年間、新たにデザインの修行を積み、その後さらに、事業会社のインハウスデザイナーへとキャリアアップされたそうです。そしてつい先日、彼と再会をする機会があり、ポートフォリオを見せていただいたのですが、直近の作品を拝見して私は非常に驚きました。ものすごいスピードで成長していたのです。たった4年間でこんなに成長できるものだろうかと感心しました。前回お会いしたときに感じた「この方は必ず優秀なデザイナーになる」という確信は、やはりその通りだったのです。もちろん今後もさらなる活躍が期待できるでしょう。

「文字の多い広告ばかりに携わっているから、ビジュアル重視のデザインをやってみたい」「チラシの広告ばかりではなく、マス広告にもかかわりたい」など、未経験領域への転職を希望される若手デザイナーの方はたくさんいらっしゃいます。経験がない若手のうちは、こうしたキャリアアップは決して易しい道ではありません。しかし持ち前のセンスと、厳しい修行によって養われた「デザインの目」があれば、可能性はぐんと広がります。これからキャリアアップをしたいとお考えの方も、現職のままもっとスキルアップをしたいとお考えの方も、ぜひ今お持ちの「デザインの目」をさらに磨いてみてください。きっとステップアップの近道になると思います。

いかがでしたでしょうか。「デザインの目」は経験の差であり、個人の差ではありません。あなたが働いているその場所は、「デザインの目」を養うことができる環境ですか?キャリアアップを目指している方は、今の環境を一度見つめ直してみるのも良いかもしれません。もちろん、環境だけに頼らずご自身の努力で身につけることも大切です。

次回は、「活躍するグラフィックデザイナーになるために絶対に必要な要素」について、解説します。