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パフォーマンスメディアにおけるスキルの市場価値と、ネクストキャリアの選択肢~前編~

nozaki

リスティング広告やDSPをはじめとするパフォーマンスメディアは、今やプロモーションに必要不可欠な存在です。ここ数年間における目まぐるしい成長は目を見張るものがありました。そしてこれからも、更なる発展が期待できる分野であることは間違いありません。しかし、同業種に携わる方々の中には、ニーズの高いスキルをお持ちにもかかわらず、転職を希望される方が多くいらっしゃいます。それはなぜなのでしょうか。前編の今回は「パフォーマンスメディアにおけるスキルの価値」について考えます。

<解説者>
株式会社ホールハート  デジタルマーケティングチーム マネージャー
野崎大輔

成長の陰に潜むハードな労働環境、人員不足、短い育成期間…

パフォーマンスメディアに携わる方が、ネクストキャリアを考えたときに選択するケースで多いのが発注サイドである「事業会社」です。その理由で多いのは、残念ながら業務量の多さによる疲弊。テクノロジーの進化により施策が増えているパフォーマンスメディアでは、クライアントが求めるレベルが高まる一方で、人員が慢性的に足りていない領域があります。つまり、ひとりひとりに課せられる業務量が増え続けているのです。

ではなぜ、人員が足りていないのでしょうか。

ハイスピードで発展し続けるパフォーマンスメディアですから、それに関わるスキルはまさに今、引く手あまたの状態。数年の実績を積んだ方々は、総合広告代理店に引き抜かれたり、事業会社でのインハウスマーケターに転身したりと、活躍の場を広げるためにキャリアチェンジしていきます。そしてそのペースは、年々早まっています。つまりそれだけパフォーマンスメディアにまつわるスキルは求められていて、「市場の伸びとニーズ(需要)」が「人員の成長や増加(供給)」を上回ってしまっています。

これは、イノベーションが起きているときに起こり得る変化の痛みであり、ある程度は仕方のないことですが、年々その差分は大きくなるいっぽうです。すると、人員を増やすために高速回転で育成する必要があります。デジタル系の企業が各社、新卒、第2新卒によるポテンシャル採用に力を入れていますが、それも納得できます。

ただし、ここで問題なのがマンパワーの低下です。携わる人口が増えても経験の浅い人ばかりになるわけですから、ある程度は止むを得ません。さらに、先にも述べたように、これまで同業界の中でプレイヤーだった人材が事業主側、つまりクライアント側に移ります。すると、彼らは自らの経験から現場の状況も業界自体のトレンドも知っていますから、よりハイレベルな内容を要求するようになります。さらにはテクノロジーの進化によって、パフォーマンスメディアは施策が増えていますから、「運用する金額以上に、扱う施策が増え、覚えることが増えていく」という状況になりがちです。当然、労働環境はハードになり育成期間も短くなります。
 

「労働環境の改善」と「デジタル広告の価値見直し」に期待

つい先日、パフォーマンスメディア運用における不正発覚の二ュースが業界を駆け巡ったのは記憶に新しいところですね。このニュースもまた、こうした環境が原因のひとつとなっている可能性があります。

周知の通りパフォーマンスメディアは固定金額では運用できません。たとえば、広告運用期間が10日間あった場合、予算をまんべんなく10日間で使い切るというのは難しく、7日間運用してみて、相当な額の予算が余ってしまっている、などということがあり得ます。しかしレポートの数字を見れば結果は一目瞭然。つまりクライアントにとっては、効果が計りにくい従来のマス広告よりも厳しい判断ができるのです。

一方で、パフォーマンスメディアはCMや雑誌のように掲載されているものが必ずしも見られるわけではありません。つまり、クライアントはデジタル上でいつ、どこに広告が出ているのかを把握しにくいのです。膨大な業務量で人員不足、クライアントから求められるレベルが高まり続ける中でのパフォーマンスメディアのこうした構造、これが今回の不正に繋がった要因のひとつであると言えるでしょう。

ただし今回のニュースは、クライアント側がパフォーマンスメディアの運用、それに伴う検証結果をきちんと把握しておらず、デジタル広告を軽視しがちになっていることを象徴しているとも言えます。「とりあえず広告予算が余ったから、デジタルもやっておこう」という程度の感覚で行っている企業が一定数存在するのも事実。デジタルマーケティングをインハウス化する事業会社がもっと増え、逐一管理できる体制があれば、今回のような不正は発生しないはずです。

これはあくまで私の見解ですが、今回のニュースにより、パフォーマンスメディアの実態が以前よりも明るみに出たことで、「労働環境の改善」と「デジタル広告の価値の見直し」が期待できるのではないかと思っています。そして、デジタル広告に携わる人達のさらなる地位向上に繋がり、業界内の人たちの給与レンジも比例して向上していけば良いです。事実、一部のデジタルキャリアの方の給与はここ数年上昇傾向になっています。もちろん、受け身のオペレーション体質ではいけません。

 

パフォーマンスメディアに関する経験の市場価値は高まり続けている

野崎大輔

良い方向にテクノロジーが進化して、世の中は便利になってきている中で、企業と消費者をつなぐというのは大変重要な任務。そして関わる人々は、今後もっと評価されるべきです。

土地の話にたとえてみたらわかりやすいかもしれません。キャリアは時価に近いと思っています。たとえば渋谷駅前で土地を数億円で買ったとする。おそらく10年後も値段は変わりません。一方で、ゆくゆく再開発されて駅ができる田舎で、田んぼを買うとします。将来、駅ができたときにその土地を売れば間違いなく高く売れますよね。デジタル領域というのは、この先ずっと育っていくので今のうちにキャリアをつくっておくというのは、アドバンテージに繋がるのです。

今が大変だからという理由で「リアルの広告がやりたい」とか「PRをやりたい」と相談に来られる方もたくさんいらっしゃいます。もちろんそれもひとつのキャリアではありますが、そちらにはそちらの先陣のプロがいて、長い歴史があります。その中に未経験で飛び込んでいって戦ったときに、優位に戦えるでしょうか。時代がデジタル化していく中で、リアルやPRの世界でも、「デジタルもやらないとだめだよね」という流れが出来ています。そこで必要となるのが、まさにデジタル人材なのです。

隣の芝生は青く見えるでしょう。でも行ってみたらそうでもなかった、ということもありますから、今やっていることに自信と誇りを持ち、市場のニーズと合わせることが将来的にキャリア形成をしやすいのではないでしょうか。もとを正せば、しっかりとクライアントに成果を返せるからニーズが高まっているのです。目の前の仕事をただ機械的に行うことは、この仕事の本質とは言えません。

こうした観点でキャリアを考えれば、将来が明るいのではないかと思いますし、この業界で働きたいという人も増えるでしょう。そうすると仲間も増えて、もっと健全な領域になっていきます。私としてもそういう業界支援をしていきたいな、と思っています。


いかがでしたでしょうか。現在パフォーマンスメディアの領域で働いていて、転職を希望されている方は、ご自身のスキルと市場のニーズを今一度見つめ直してからでも遅くはないかもしれませんね。次回は、パフォーマンスメディアの領域で働く方々のネクストキャリアについて解説します。

 

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